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どうしてもチェロが弾きたくなってネットオークションで超激安チェロを買いました。
我が家にチェロがやってきた(開封記)
チェロ買っちゃいました
チェロ買っちゃいました。我が家の物欲番長がまたやっちゃいました。
現在ネットショップやオークションで各種楽器を格安で提供しているHallstattブランドのHC-700というモデルです。
実売価格3万数千円のチェロ
なんでも定価73,500円らしいですが、だいたい3万数千円で取引されている激安チェロです。(価格は2007年当時)
同じブランドでHC-400というのもあって、こちらは実売2万ちょっと。
まさに格安ですが、写真で見る限りあきらかに合板丸出し。やっぱり少しでも木目があるほうがカッコイイからこっちにしました。
まぁネット情報によると、一般的に入門者には安い楽器ということで30万円くらいのものを使いましょう!などと普通にオススメされちゃうチェロ界にとって、3万円といえども相場の1/10ですからね。これはもうオモチャ以下です。
相場の十分の一「ゴミに3万も出すの?」
知り合いのバイオリニストの方に相談したら「本気で買うの?ゴミになるだけだよ!ゴミに3万も出すの?」と言われましたが、チェロを弾きたくて弾きたくてしょうがなくなってしまったし、一般庶民からすれば3万だって大金なわけで、たとえゴミだろうとチェロの形をしていれば3万円分以上に楽しめる自信はある☆!と自分を説得して買ってしまったわけですね。
即日発送で送られてきたチェロは、二重の段ボールに梱包されてきました。かなり大きい荷物です。
で、さっそく開封。なんといっても入門5点セットですから、開封したらすぐに音が出せる状態に・・・と思ったら大マツガイ。開封してソフトケースに入った楽器を持ち上げてみると「カラカラ」と妙な音がします。
・・・・嫌な予感
嫌な予感、本体の中から「カラカラ」と妙な音が
チャックを開いて本体を出してみると工場直送といわんばかりの体裁(最上部の写真参照)。でも一応弦だけは巻かれてます。
そして本体の中から「カラカラ」と妙な音が・・・嫌な予感。
付属品を確認
とりあえずソフトケースのポケットの物をすべて取り出すと、バイオリンのものと比べると化け物のように大きな駒と、金属製の部品のようなものが4つ、ナゾの小箱。小箱の中には木枠でかためられた琥珀色の物体が・・・
一目見て「これはすぐに弾けるような状況ではない」事がわかりました。
2.「この金属製のパーツはなんだ?」
3.「この琥珀色の小箱はなんだ?」
4.「本体の中でカラカラいっているのはなんだ?」
さて説明書はどこかな?組み立て図とかないのか?・・・ケース、ダンボールの隅々まで探しても見当たりません。まさか右も左のわからないド素人に、この状態から説明書もナシでなんとかしろとおっしゃる?そりゃあ無理ってものでしょ?
というわけでネットサーフィンの始まりです。
2.これはアジャスターといってテールピースにつけてチューニングの際に微妙な調整をするものです。
3.松脂。弓にこすりつけることで弓と弦がひっかかって音が鳴るようにするもの。
うむ~なるほど。簡単に言ってくれるじゃないか。
なんとなく勘付いていたけど、これはかなり難易度高いな。
それにしてもこの松脂はひどそう。あからさまに“粗悪品デース”と言っているような風体。
なぞの「カラカラ」の正体は「魂柱」
さて 4.のカラカラの正体は??
バイオリンやチェロには「魂柱」という表板と裏板の圧力だけで立っているパーツがあります。その名の通りその楽器の音色を大きく左右するもので、1mmずらしただけで大きく調子が変わるんだそうです。
そう、カラカラの原因はこの魂柱が外れて中で転がりまわっていた音でした。
魂がとれてる・・・・
これはキビシイです。どうしたらいいものか見当もつかない状況です。なんせ本来は最善の位置に立っていなければならない長さ10cm以上の棒が、開けることのできない箱の中でカラカラしてるものを、どうにかして所定の位置に立てないといけないんです。
あ~困った。
『魂の柱』を立て直す
あちこちネット検索をした結果、本来は「魂柱立て」という楽器職人が使う専用の工具があるんだそうです。でも、そんなもん持ってるわけない!!
魂柱をなんとかする
f字孔から覗いてみると、深々としたチェロの胴体の空洞の底にコロリと横たわる棒には、たしかに針で刺したような穴があります。
まずはドライバーをf字孔に突っ込んでみました。しかし意外とチェロの中は深くて魂柱に触れることすらできません。孔も小さくて柄の部分が入りません。次に木工用の「きり」を持ってきたものの、これも柄が太くてf字孔に入りません。で、菜箸を突っ込んでみました。これはなんとか触れます。でもこれでつまみ出すにはf字孔が細すぎて絶対にできない感じです。
コンパスで魂柱を取り出す?!
先端がとんがっていて、細長いもの・・・なにかいいモノないか?
と工具箱や引き出しを探し回った結果、製図用のコンパスが目に付きました。コンパスの股を全開にするとかなりの長さになります。
よし!これならいける
先ずは机に毛布をしいてチェロを横たえ楽器を揺さぶって、はずれた魂柱がf字孔からよく見えるところに来るようにしました。そしてコンパスの針を充分に出してしっかりネジで固定。もしろん股は全開にしていざ!挿入。
まるで先端医療の腹腔鏡手術のように、向こうのf字孔から照明を当てて、こちらの孔から器具を指しこみ目を凝らして魂柱の穴をめざしてコンパスの針を刺し、拾い上げた棒キレを落とさないように慎重に取り上げました。
こうして無事に魂柱をチェロの外に出すことに成功したわけですが、問題はこの棒キレをどうやって表板と裏板の間に立てるか?!ということです。
魂柱を立てる
【魂柱の立て方をネットで調査】
トライ1回目。とにかく取り出した時と同じようにコンパスに魂柱を刺し直してf字孔から内部に戻し、うまい具合にひねって・・・・とやっているうちに針から魂柱がはずれて落ちてしまいました。
トライ2回目。落っこちた魂柱を再度とりあげて、前回の反省からしっかり針を刺し直し、慎重に内部で棒を垂直になるように向きを変え、コンパスをゆっくり手前に引いてみると、なんと表板と裏板の間に魂柱が立った状態でうまく針が抜けました。おお!大成功!と思いつつチェロをちょっと動かしたとたんに倒れてしまいました。
トライ3回目。気を取り直して魂柱を中に立てるまできたところで、反対側のf字孔から菜箸で押し込んでみました。かなり良い感じにはまったものの、よく見たら魂柱が斜めになってしまいやむを得ず再挑戦。
トライ4回目。もろもろの反省を活かし、まぁまぁ良い感じに立ったので棒が傾かないように慎重に菜箸で微調整。それにしてもどのくらい押し込んでいいものかわからないため、それなりに外れない程度にしておきました。
魂柱は立ったが…
開封から魂柱を立てるまでに約2時間を費やし、ある種の達成感は得たものの肝心のチェロの様子はと言えば、弦もテールピースも外れた“丸裸”状態。いつになったら音がだせるやら。
いや、音を出してみたら魂柱の場所が悪くてヘロヘロかも・・・
でも確認する術もないわけで、このまま組み立てていくしかないのであります。
説明書がほしい
で、謎の金属パーツの“アジャスター”なるものを設置。もちろんこの器具もどうやって付けていいものか知らないし、説明書もないわけですからネット検索・・・しても結局取り付け方を説明している場所は見つからず、取り付け済みの写真を見よう見まねで設置完了。
続いて弦。実は取り外したときに糸巻きをゆるめようとした瞬間、弦の張力によってゼンマイ仕掛けのように糸巻きが高速回転してゆるゆるになった反省を活かして、巻きながら内側に押し込むように巻かないといけません。でも弦を引っ張り続けないと、今度は弦だけがクルクルっとなって糸倉の中で拡がってしまいます。適度に弦を引っ張りつつ糸巻きをしないとダメなんです。
さて今度は駒ですが、これって表板と弦の間に垂直に立つように入れないといけないんですが、これも一苦労。引っ張りながら巻いた弦は駒を入れる余裕もない状態で、またまた弦をゆるめて駒をはさんで・・・試行錯誤とは正にこのことという感じ。
開封から3時間以上かかった
というわけで、結局段ボール開封から3時間以上かけて、やっと『チェロらしい』姿になりました。
次はいよいよ『音出し』にかかります。