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どうしてもチェロが弾きたくなってネットオークションで超激安チェロを買いました。
ハルシュタットとカルロジョルダーノ(格安チェロ)
この記事は個人の経験をもとにした意見・感想です。
格安チェロ対決
ハルシュタットHC-700を近所の楽器店で調整してもらい、待望のチェロレッスンがはじまりました。
はーい、よろしくおねがいします。では始めましょうか。
お願いしまーす。がんばりまーす!
格安チェロを “もう1台” 買ってしまった!
レッスンを始めて、チェロという楽器がどんなものかすこし判ってきた今日この頃。
どうしても気になる格安チェロがありました。それが…
カルロジョルダーノ SC-90
本体+キャリングバッグ、弓、松ヤニのセットです。
・生産国:中国 ・スプルーストップ ・メイプルバック&サイド ・メイプルネック ・黒塗り指板 ・黒塗りペグ ・付属品:キャリングバッグ、弓、ロージン
たしか当時の定価は7万円、実売価格で4.5万円くらいだったと思います。こちらもネットオークションで購入しました。
ハルシュタットが3万円台、カルロジョルダーノが4万円台とちょっとだけこっちのが高いですが実際「どっちこっちない」という意見がネットなどでは散見されました。
しかし、一部のサイトでは「低価格ながらしっかりした作り」「初心者には十分」というレビューもあり、気になって気になって仕方なく、とうとう購入に至りました。
しかし現在はSC-90という型番の取り扱いは無くなってしまったようですね、残念です。
比較
さっそく2台のチェロを比べてみましょう。
左:ハルシュタットHC-700 右:カルロジョルダーノSC-90
左側の焦げ茶色がハルシュタットHC-700、右側のオレンジ色っぽのがカルロジョルダーノSC-90です。ちなみに中央にあるのは子供用の1/8サイズのおもちゃチェロです。
スペック
Hallstatt Cello 4/4Size HC700
Top:Solid Spruce
Sides&Back:Solid Maple
Neck:Maple
Fingerboard:Stained Maple
Peg:Stained Maple
Tailpiece:Stained Maple
付属品:
・Carrying Bag
・Bow
・Rosin(松脂)
※キョーリツコーポレーションのサイトより
4/4 – 1/4 size
・Solid spruce top
・Solid maple neck / back & sides
・Ebony pegs
・Painted hardwood fingerboard
・4 adjuster metal tailpiece
・Accessories :
Carrying bag
Bow & Rosin
※マックコーポレーションのサイトより
どちらも表板、裏板、側面はスプルース。ネックはメイプル。
指板、ペグは通常 “黒檀” が使われるところ、いずれの楽器も “黒く塗った木材” が使われています。
大きく違うのはテールピース…弦を引っ掛ける下の部分の事です。
ハルシュタットは”黒く塗ったメイプル”ですが、カルロジョルダーノは「アジャスター付き金属テールピース」です。
写真で見るとハルシュタットにはシルバーのツマミが4つ、それと弦をひっかける金属が木製のテールピースから出ています。
一方、カルロジョルダーノは黒いツマミが4つあって弦はテールピースに直接付いています。
このツマミが「アジャスター」です。
弦楽器の調弦(弦の音を合わせる事)の際に、微妙な調節をする器具、または機能。
スペック表にはありませんがハルシュタットには後付けのアジャスターが4弦分付属していました。
配送状況
ハルシュタットは工場から直送されたような状態で、駒(楽器の中央にある弦を支えるパーツ)はもちろん魂柱(チェロの内部にある重要なパーツ)が外れた状態で届き、組み立てるのに3時間かかりましたが、カルロジョルダーノは “組み立て済み” の状態で届きました。
よかった〜。魂柱立ってる
正直この違いはかなり大きい。もちろん調弦は狂っていたので開封してすぐに弾ける訳ではないけど、これだったら初心者でも受け取れますよ。
実際に見たときの印象
2台のチェロを並べて見ると印象がかなり違います。
ジョルダーノ すげーいいじゃん!!
はっきり言って、カルロジョルダーノは非常にいいです。
写真ではわかりづらいかもしれませんが、右のカルロジョルダーノは表板に木目がはっきり見えます。一方ハルシュタットは塗装が厚くて木目がありません。
エフ字孔(表板のf形の穴)の辺りもカルロジョルダーノの方があきらかにつくりが丁寧です。
駒の形もぜんぜん違います。本来、駒は足の部分を削って楽器に密着するように、また弦の高さや音色をよくするために調整するものだそうです。ハルシュタットの方は下駄を履いているような分厚さがあって印象悪いですね。カルロジョルダーノのほうがスマートな形をしていてスッキリしています。
肝心の音色は…
実のところ音色はよくわかりませんでした(爆)。入門したての私が弾いてもわからなかったということです。
でも先生に弾いてもらってみたところ、楽器の鳴りがカルロジョルダーノのほうが断然いいという評価でした。
こっち(カルロ)のほうがよく鳴ってますよ
確かに音が大きい
購入から10年、改めて弾き比べてみました
ハルシュタットは購入以来あまり弾いてなく弦もそのときのまま。一方、カルロジョルダーノの方は購入以来2~3回は楽器店でちゃんとした調整もしてもらっていて、弦もあたらしく変えているので比較するには不公平なんですが、やっぱりハルシュタットはもっさりこもった音がします。
カルロジョルダーノはビンビンした音ですが、弾き応えがあります。
チェロを初めて10年あまり。あまり練習もしないでズルズル続けて大した上達はしていませんが、いろいろな楽器を触る機会もありました。そんな私がいうのもなんですが、カルロジョルダーノSC-90はコスパに優れたオススメの楽器でしたね。
ハルシュタット買うつもりなら、ちょっと頑張ってカルロジョルダーノにしたほうがいいよ
でもSC-90は現在、もう販売していないみたいなんですよね。カルロジョルダーノでいま一番安いのがSC-100でだいたい十万円くらい。十万円はちょっと高いですよね。
まとめ
- カルロジョルダーノはコスパに優れたいい楽器だった。
- ハルシュタットは “安かろう悪かろう” だった。
※どちらも2007年当時の印象です。
オマケ:1年半でこんな感じになりました
チェロをはじめて1年半のときの発表会です。楽器は知り合いのかたに借りた本物です(笑)
格安チェロの購入を検討している方は、チェロを教えてもらえる先生と、調整してもらえる楽器店の目星をつけておいてください。
先生(教室)によりますが「こんな楽器は捨ててちゃんとした楽器に買い替えなさい」といわれても仕方ないと思ってください。
楽器店によっては「こんな楽器の調整はできません、うちで購入した楽器しか扱いません」といわれても仕方ないと思ってください。
チェロやバイオリンを習う環境は、ピアノやギターを習うのとは別世界です。私はとても恵まれた環境で教わっていますが、一般的にはいろいろあるみたいですよ。ご注意くださいね。